コラム
車のマフラーから水が出る!原因と水抜き方法を徹底解説します
みなさんは、自動車のマフラーから水が垂れていたり、前を走っている車のマフラーから水が出ているのを見たことはあるでしょうか?
特に冬場にポタポタと垂れている水を見かけることは少なくありません。
排気ガスとは違い常に出ているように見えないため、故障なのではないかと思ってしまいますよね。
この記事では、車のマフラーから水が出る原因と水の抜き方について解説いたします。
車のマフラーから水が出るけど大丈夫?その原因は?
まずは、車のマフラーから水が出る原因は大きく分けて2つあります。
それぞれ一つずつ説明していきます。
ガソリンの燃焼によって水が出る
一つ目の原因は、ガソリンの燃焼によるものです。
実は、ガソリンには水素が含まれています。
自動車のエンジンを始動させるとガソリンが燃焼し、ガソリンに含まれている水素と酸素がエンジン内で結合し、水蒸気となります。
この水蒸気が主にマフラーの中で結露して水になり、少しずつマフラーの内部に溜まります。
この溜まった水がマフラーを通る排気ガスに押されて、マフラーの外へ出てくるのです。
停車中の車のマフラーから出ている水はポタポタと垂れている程度ですが、高速道路などを走行している車のマフラーから出る水の勢いが強いのは、高速走行中の排気ガスの勢いが強くそれに押し出されているからです。
触媒の化学反応によって水が出る
二つ目の原因は、触媒の化学反応によるものです。
まず、自動車が排出する排気ガスには、「炭化水素」「一酸化炭素」「窒素酸化物」という三種類の有害物質が含まれています。
この有害物質をそのまま空気中に排出することはできないので、触媒装置で有害物質を浄化してから排出します。
触媒装置はプラチナ、パラジウム、ロジウムという金属でフィルター状にコーティングされており、「三元装置」とも呼ばれます。
三種類の有害物質をそれぞれ、炭化水素は二酸化炭素と水へ、一酸化炭素は二酸化炭素へ、窒素酸化物は窒素へと還元されます。
このとき、炭化水素が還元される時に水が発生し、この水がマフラーから排出されることがあるのです。
マフラーから水が出るのは車が正常だからこそ
マフラーから出る水は、エンジンが正しく動いてガソリンが燃焼し、触媒が正しく働いて有害物質を浄化している証拠です。
マフラーから水が出ること自体は悪いことではなく、車が正しく動いていれば必ず出るものです。
見えていないだけで常に水は出ていますので、特に気にする必要はありません。
冬などの気温が低いときにマフラーから水が出ているのをよく見かけますが、夏場も同じように水が出ています。
ただし、気温が高いためマフラー内部ですぐに蒸発し、水蒸気の状態のまま排気ガスとともに排出されることが多く、目視する機会が減ります。
また、夏と冬で水の量は変化します。
冬は外気温が低くマフラー内部との寒暖差が大きくなります。
冬の窓ガラスなどでも分かる通り、結露は温度の差が激しくなるほどに水となる量が増えます。
ですので、必ずしも車に異常が発生しているから水の量が減ったり増えたりするというわけではなく、夏と冬で水の量が変化しているということです。
マフラーの中に水が溜まると錆びないの?
長いあいだ水が溜まっていると、金属は錆びてしまいますよね。
では、マフラーは水が溜まってしまっても錆びないのでしょうか?
錆びてしまう前の錆対策が重要!
マフラーから水が出るのは、故障や異常ではなく、エンジンを動かし排気ガスが出る上で正常なことです。
ですが、マフラー自体にはあまり良くないことであり、マフラーが錆びてしまうこともあります。
最近の自動車のマフラーにはこの水による錆を防ぐために、水を逃すための細かい穴があいていたり、ステンレスやチタンなど錆びにくい素材で作られていたりと、対策が取られていることがほとんどです。
しかし、気温の低い冬や雪国などは、特に注意が必要です。
外気温がとても低くなるためマフラーに溜まった水が蒸発しにくくなり、雪国であれば融雪剤によってさらに錆びやすくなってしまうこともあります。
錆びてしまった場合は、手間がかかってしまいますがマフラーの錆落としや洗浄を行うこともできます。
錆びたまま放置していると、最悪の場合マフラーに穴が空いてしまうこともあります。
マフラー自体が高価で取付工賃も高額であるため、早めに対処しましょう。
マフラーから水抜きする方法
マフラーに水が溜まっている状態が続くと、マフラーが錆びてしまう原因となってしまいます。
では、マフラーから水を抜くにはどうすればよいのでしょうか。
熱で蒸発させる
まずは、マフラーの内部に水が溜まらないようにすることが一番です。
マフラーの内部の水は、マフラーが熱くなると蒸発します。
ですので、マフラーが熱くなるように長い距離を走って蒸発させてしまうと少しでも錆びにくくさせることができるのです。
国道や高速道路や自動車道などある程度のスピードが出る道を走って排気ガスの勢いで水を飛ばすという方法もあります。
短い距離ばかり走っていると溜まった水が蒸発しないまま次々と水が溜まってしまうことがあります。
定期的にロングドライブや高速道路を使う機会を作ると、ある程度は自然と蒸発していきます。
空ぶかしによって水を抜く
空ぶかしをして一気に水を抜く方法もあります。
ギアをニュートラルに入れて、念の為しっかりとサイドブレーキを引き、勢いよくアクセルを吹かします。
すると、排気ガスとともに勢いよく水が飛び出してきます。
かなりの勢いがあるため、必ず周りに人がいないかと物がないかを確認してから行いましょう。
この方法でマフラー内部に溜まった水のほとんどを抜くことができるので、あとは少し走行することでマフラー内部の水は完全に蒸発します。
また、空ぶかしは騒音と捉えられてしまいやすいので、時間帯や場所などを十分に考えてから行うことが重要です。
水抜き剤について
「水抜き剤」と聞くと、マフラーの水抜きと関係があるように思えますよね。
ですが実際のところ、水抜き剤とマフラーから出る水は関係ありません。
水抜き剤とは、ガソリンタンクの中の水分(結露や水蒸気など)をガソリンに混ぜ合わせて燃焼しやすくするためのものです。
ガソリンタンクが金属の場合、ガソリンタンク内の水分が原因で錆びてしまうことがあり、それを防ぐためにこの水抜き剤を使うことがあります。
ですが、最近の車のガソリンタンクは樹脂で作られていることが多く、錆びることがないので、水抜き剤はあまり使われなくなりました。
マフラーから出る水は、エンジン内部でガソリンが燃焼されたときに発生した水蒸気が結露したもの、または触媒の化学反応によって炭化水素が還元された際に発生するものです。
ガソリンタンク内部の水分とは関係がありませんので、マフラーの水を抜きたいときは間違って水抜き剤を買ってしまわないようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
マフラーから水が出るのは車が正常であれば必ず起こることであって、水が出ること自体を心配する必要はありません。
ただし、マフラーに水が溜まった状態が続くとマフラーが錆びてしまうので、定期的に水を抜くようにすることが大切です。
また、水抜き剤はガソリンタンク内部の水分を抜くためのものであって、マフラーから出る水とは関係ありませんので、水抜き剤は効果がないことを覚えておきましょう。
短い距離の通勤や買い物だけではなく、ときにはロングドライブや高速道路を使って、カーライフを楽しみながら対策ができるので、ぜひお試しくださいね。