コラム
マフラーに装着するサイレンサーとは?消音効果と車検を通すためのポイント
みなさんは、愛車の排気音の大きさが気になったことはありませんか?
スポーツマフラーを装着してカスタムしていたり、マフラーは変えていなくても純正の排気音が少し大きめであったりすると、ご近所の人などに迷惑をかけてしまわないか不安になってしまいますよね。
そんなときに役に立つのが、サイレンサーです。
この記事では、サイレンサーの効果や車検を通すためのポイントなどについて詳しく解説していきます。
サイレンサーとは?
サイレンサーとは、車やバイクのマフラーのパーツで、排気音を小さくして音量を抑える役割があります。
通称「タイコ」と呼ばれる、マフラーの途中についている消音器をサイレンサーと呼び、マフラーの出口(排気口)に取り付けることができるものを「インナーサイレンサー」といいます。
今回は、「インナーサイレンサー」に焦点を当てて解説します。
インナーサイレンサーは、口径の大きく太いマフラー、特に社外品のマフラーに使用されることが多いです。
社外品のマフラーには排気効率を上げたり、速く走るために馬力やトルクを上げたりする効果がありますが、それに伴って排気音が大きくなってしまいます。
ただし、インナーサイレンサーはマフラーの出口に取り付け狭くすることで音量を下げるため、排気効率は低下してしまいますし、取り付けたからといって速くなるものではありません。
インナーサイレンサーはあくまでも音を小さくするためのものです。
排気音が大きすぎるとどうしてもご近所の人に迷惑をかけてしまうことがありますので、音が大きい場合はぜひインナーサイレンサーを取り付けましょう。
サイレンサーの仕組み
次は、サイレンサーの仕組みを見ていきましょう。
消音される仕組み
まずは、マフラーに必ずついている「タイコ」と呼ばれるサイレンサーは、内部にいくつかの仕切りがあります。
壁を挟むと音が小さくなるのと同じように、この部分に音がぶつかり、音を吸収します。また、中にはスチールウールが入っていて、これも音を吸収する役割があります。
インナーサイレンサーの仕組み
インナーサイレンサーは、音量を下げるためにマフラーの出口に付けます。
取り付けることでマフラーの出口の口径はかなり絞られて狭くなり、これによって低音域の音量を下げています。
さらに、内部にガラスや金属の繊維でできたグラスウールやスチールウールが巻き付けられているものもあり、高音域と中音域の音量を下げる効果があります。
グラスウールやスチールウールが巻き付けられていないインナーサイレンサーであっても、出口の口径が絞られているだけで低く響く重低音が軽減されます。
このような仕組みで低音域から高音域までを幅広くカットすることで、特に響きやすく近所迷惑となる低音域をしっかりと抑えてくれる効果があります。
サイレンサーの消音効果はどれくらい?
では、実際のインナーサイレンサーはどれくらい効果を発揮してくれるのでしょうか。
実は商品にもよりますが、音の大きさを表すdBで排気音を測定すると、サイレンサーの装着前と装着後では数dB下がっただけであることが多いです。
ですが実際に音を聴き比べてみると、装着後の方がかなり静かになっているように聞こえるのです。
これは安価なものでも高価なものでもサイレンサーであれば必ず口径が狭くなるためであり、これによって低音が大幅に抑えられます。
低音は高音よりも響きやすく、建物にも伝わりやすいため、特に近所迷惑になりやすい音です。
サイレンサーを取り付けることによって、体感での音量はかなり抑えられるため、近所迷惑や行動を走る際の騒音対策をする上で欠かせません。
また、高価なサイレンサーであれば高音や中音も削減するための作りをしていることが多いですが、安価なものであっても低音は十分にカットされるため、しっかりと効果を発揮してくれるので安心です。
サイレンサーを取り付けるデメリット
サイレンサーを取り付けると効果的な騒音対策をすることができますが、実はデメリットも存在しています。
サイレンサーは騒音対策をするためには欠かせませんが、デメリットもしっかりと確認して使用しましょう。
高回転域でのエンジンへの負担が大きくなる
サイレンサーを取り付けると、排気効率が悪くなり高回転域でエンジンに負担がかかりやすくなってしまいます。
これは本来抵抗の少ないマフラーの出口をサイレンサーによって狭めているからです。
サイレンサーが取り付けられていることによって排気抵抗が大きくなり、排気ガスの排出量の増加、エンジンへの負担がかかりやすくなってしまいます。
また、高回転域での加速の伸びも取り付け前よりも劣ってしまいます。
取り付けや点検が面倒である
サイレンサーは通常、マフラーの口径にぴったりと合うものを選び、ボルト1本または2本で固定します。
サイレンサーを取り付けるには、はじめからサイレンサーを取り付けるための穴が空いているものであればあとは固定するだけで取り付けが完了します。
ですが、初めから穴が空いていないものは自分で穴を開ける必要があります。
マフラーはほとんどのものがステンレスでできているため、穴を開けるにはドリルなどを使用しなければなりません。
また、正しい大きさのサイレンサーを選ばなければなりませんので、購入するときから注意が必要です。サイズを変えられるサイレンサーもありますので、そういった商品を選ぶとよいでしょう。
車検を通すためのサイレンサーを取り付ける際の注意点
車の車検を通すときにマフラーを社外品に交換していると、排気音が規定値を上回ってしまって車検を通せないことがあります。
そこで排気音の音量を小さくするためにサイレンサーを取り付けることがありますが、いくつか注意点があります。
規定値を下回る音量でも車検が通らない場合がある
国土交通省が定める車検に関する保安基準では、「消音器の騒音低減機構を容易に除去できる構造でないこと」と書かれています。
これは、サイレンサーなどの消音器が取り付けられている場合、簡単には外れないように取り付けなければならないということです。
溶接やリベットであれば問題なく車検を通すことができますが、ボルトで止めているものに関しては検査員の判断によるところがあります。
排気音の音量が規定値を下回っていても、取り付けが甘く簡単に外れるような状態であれば車検は通りません。
確実に車検を通したい場合は溶接やリベットで固定する必要がある点に注意して使用しましょう。
取り付ける車の年式によっては車検を通せない
排気音に関する保安基準は年々厳しくなっています。
「交換用マフラーの事前認証制度」により、2010年4月1日以降に生産された車はサイレンサーの取り付けが禁止されています。
ですので、車検の際にサイレンサーをつけてしまうと音量にかかわらず車検が通らなくなります。インナーサイレンサーは車検を通す際の排気音の音量を下げるのに便利なパーツですが、車の年式や取り付け方をしっかりと確認した上で購入し取り付けましょう。
まとめ
サイレンサーは車の排気音を抑える役割を持ち、近所迷惑となる騒音を防いでくれる部品です。
デメリットもありますが、低く響く排気音をかなりカットしてくれるだけでなく、取り付けもある程度簡単に行うことができます。
車の年式によってはしっかりと固定することによって車検を通す際にも使用することができるので、スポーツマフラーを装着している方にはぜひ一度チェックしていただきたいものです。